Albert, S., & Whetten, D. A.
(1985).
Organizational identity.
In L. L. Cummings, & B. M. Staw (Eds.), Research in organizational behavior, Vol. 7 (pp.263-295). Greenwich, CT: JAI Press.
★★★【2014年12月10日】
組織アイデンティティ論におけるこの論文の貢献は大きい。従来、個人のアイデンティティのイメージを組織にもそのまま当てはめ、組織アイデンティティも
- 一つの組織には唯一つ
- 他の組織と比べてユニーク
- 時を経ても変わらない
という暗黙の基準を満たすものだと思われてきた。実際、残念ながら、この論文を引用する多くの研究が、そのイメージから脱し切れていない。しかし、この論文の主張は画期的であり、明確にそれとは異なる。組織アイデンティティとは
- 【中心性】(claimed central character): 中心的性格であれば、複数存在していてもいい
- 【識別性】(claimed distinctiveness): 他者と比較可能で自己分類できれば、ユニークでなくてもいい
- 【時間的連続性】(claimed temporal continuity): 連続的であれば、時が経つにつれて変化してもいい
とアイデンティティ概念を大幅に拡張したのである。このことによって、変化していく組織アイデンティティを初めて定義し、とらえることに成功した。そのおかげで、Dutton and Dukerich (1991)以降、組織アイデンティティに関する実証的な研究が一気に展開していくことになる。
《参考文献》
Dutton, J. E., & Dukerich, J. M.
(1991).
Keeping an eye on the mirror: Image and identity in organizational adaptation.
Academy of Management Journal, 34(3), 517-554.
★★★
【解説】山城慶晃(2015)「組織アイデンティティの三つの基準とは何だったのか?―経営学輪講Albert and Whetten (1985)」『赤門マネジメント・レビュー』 14(2), 77-88. ダウンロード