セッション ページ 章・節・《項》
第1章 センスメーキングとは何か
01 001-008 (イントロダクション)/センスメーキングの概念
《課題》センスメーキングとは何か?
《要約》 by 大谷駿明
02 008-021 センスメーキングの特質
《課題》センスメーキングは解釈とどこが違うのか?
《要約》 by 天野康
第2章 センスメーキングの7つの特性
03 022-032 (イントロダクション)/1. アイデンティティ構築に根づいたプロセス
《課題》組織アイデンティティのチェックから始まったセンスメーキングの例を挙げよ。
《要約》 by 高屋菜帆
04 032-040 2. 回顧的プロセス
《課題》過去の経験を後知恵でセンスメーキングした例を挙げよ。
《要約》 by 安井功
05 040-052 3. 有意味な環境をイナクトするプロセス
《課題》イナクトされた環境の例を挙げよ。
《要約》 by 尾崎あゆ美
06 052-059 4. 社会的プロセス
《課題》良い名前は行為を可能にしてくれる名前であるという例を挙げよ。
《要約》 by 佐々木健詞
07 059-067 5. 進行中のプロセス
《課題》流れの中断・昂奮・情動とセンスメーキングはどんな関係があるか?
《要約》 by 和田弘規
08 067-076 6. 抽出された手掛りが焦点となるプロセス
《課題》目に見える手掛りをピックアップしていくことで自己成就予言となっていった例を挙げよ。
《要約》 by 金子淑佳
09 076-085 7. 正確性よりももっともらしさ主導のプロセス/まとめ
《課題》センスメーキングに必要だったもっともらしい優れたストーリーの例を挙げよ。
《要約》 by 菊地宏樹
第3章 組織におけるセンスメーキング
10 086-094 (イントロダクション)/センスメーキングの歴史的ルーツ/組織のセンスメーキングの重要な資源
《課題》職場で電話に出る際、自分の名前ではなく、部署名を告げるとき、その後のプロセスはどう変わるか?
《要約》 by 山本彩香
11 095-104 組織のセンスメーキング的考察
《課題》間主観性と集主観性の違いに注意して、組織化とは何か?
《要約》 by 大谷駿明
12 104-112 ホーイックにおけるセンスメーキング
《課題》ホーイックのコミュニティの中で、各企業の経営者のメンタル・モデルはどのように形成されたか?
《要約》 by 佐々木健詞
第4章 センスメーキングのきっかけ
13 113-124 (イントロダクション)/センスメーキングのさまざまなきっかけ
《課題》センスメーキングにとって撹乱性とは何か?
《要約》 by 天野康
14 124-135 あいまい性と不確実性
《課題》あいまい性と不確実性は異なることが分かる例を挙げよ。
《要約》 by 和田弘規
15 135-142 センスメーキングのきっかけの一般的特性
《課題》昂奮で周辺の手掛りを無視してしまった例を挙げよ。
《要約》 by 安井功
第5章 センスメーキングの実質
16 143-150 (イントロダクション)/最小有意味構造《(イントロダクション)》
《課題》目の前の世界をユニークで一時的なものとしてではなく、連続的で反復的なものとして描写すると、何が変わるか?
《要約》 by 尾崎あゆ美
17 150-159 最小有意味構造《イデオロギー/第三次コントロール》
《課題》組織内で意思決定をする際に前提となっている価値観の例を挙げよ。
《要約》 by 高屋菜帆
18 159-167 最小有意味構造《パラダイム/行為の理論》
《課題》組織で問題に対処するときに繰り返し使われてきたルーチンの例を挙げよ。
《要約》 by 菊地宏樹
19 167-177 最小有意味構造《伝統/物語/まとめ》
《課題》「私にある物語を思い起こさせた」例を挙げよ。
《要約》 by 金子淑佳
第6章 確信主導のセンスメーキング・プロセス
20 178-193 (イントロダクション)/議論としてのセンスメーキング
《課題》会議で多数派と少数派に分かれて議論したことでセンスメーキングが起きた例を挙げよ。
《要約》 by 山本彩香
21 193-205 予期としてのセンスメーキング
《課題》本当は間違っていたのに、結果的にその通りになってしまった予期の例を挙げよ。
《要約》 by 大辻恵介
第7章 行為主導のセンスメーキング・プロセス
22 206-215 (イントロダクション)/コミットメントとしてのセンスメーキング
《課題》何か(たとえば仕事)に縛られて日々を過ごすうちに、新しい可能性が開けてきた例を挙げよ。
《要約》 by 天野康
23 216-223 操作としてのセンスメーキング
《課題》引越しや進学で環境が新しくなったときに、自分でどのように働きかけて新しい生活環境を構築してきたかを説明せよ。
《要約》 by 稲田樹
第8章 センスメーキングの未来
24 224-240 (イントロダクション)/組織的センスメーキングのまとめ/センスメーキングの未来;研究
《課題》規範的モデルのルールに厳密に従う意思決定支援システムの例を挙げよ。
《要約》 by 佐々木健詞
25 240-261 センスメーキングの未来;実践/センスメーキングの心構え
《課題》経験を共有した人に、共通経験に関する物語を語ったことがありますか?
《要約》 by 和田弘規
【引用されている中でも重要な参考文献】
01
Starbuck, W. H., & Milliken, F. J.
(1988).
Executives' perceptual filters: What they notice and how they make sense.
In D. C. Hambrick (Ed.),
The executive effect: Concepts and methods for studying top managers (pp.35-65).
Greenwich, CT: JAI.
【注】Weick (1995)の種本ならぬ種論文で、いたるところで頻繁に引用される。そのp.51で、センスメーキングについての明確な定義を与えている(Weick, 1995, p.4 邦訳p.5)。
02
Garfinkel, Harold (1967)Studies in Ethnomethodology. Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall. Chapter 4 (pp.104-115).
【注】Weick (1995)の pp.10-11 (邦訳pp.13-14) には、この本の第4章の中の pp.113-114 の3つの段落が、一部省略されて (省略部分は原典でも邦訳でも「・・・」で示されている)、引用掲載されている。ただし、引用ページは「pp.114-115」となっていて、これは間違いである。
03
Dutton, Jane E. & Janet M. Dukerich
(1991)
“Keeping an eye on the mirror: Image and identity in organizational adaptation,”
Academy of Management Journal, 34, 517-554.
Erez, Miriam & P. Christopher Earley (1993)Culture, Self-Identity, and Work. New York: Oxford University Press. Chapter 2 (pp.18-37).
Ring, Peter Smith & Andrew H. Van de Ven
(1989)
“Formal and informal dimensions of transactions,”
in Andrew H. Van de Ven, Harold L. Angle & Marshall Scott Poole eds.,
Research on the Management of Innovation: The Minnesota Studies, New York; Tokyo: Harper & Row, Ballinger Division, 171-192.
Ring, Peter Smith & Andrew H. Van de Ven
(1992)
“Structuring cooperative relationships between organizations,”
Strategic Management Journal, 483-498.
04
Minzberg, Henry
(1978)
“Patterns in strategy formation,”
Management Science, 24, 934-948.
Staw, Barry M.
(1975)
“Attribution of the 'causes' of performance: A general alternative interpretation of cross-sectional research on organizations,”
Organizational Behavior and Human Performance, 13, 414-432.
05
Follett, Mary Parker
(1924) Creative Experience. New York: Longmans, Green & Co.
Chapter 3 (pp.53-77),
Chapter 6 (pp.117-132).
【注】Follett (1924)の第3章・第4章は、
Graham, Pauline (ed.) (1995) Mary Parker Follett -- Prophet of Management: A Celebration of Writings from the 1920s. Boston, Mass.: Harvard Business School Press. (三戸公, 坂井正廣監訳『メアリー・パーカー・フォレット: 管理の予言者』文真堂, 1999)の
第1部第1章 (pp.43-63; pp.64-78)として収録されている。
06
Ring, Peter Smith & Gordon P.Rands
(1989)
“Sensemaking, understanding, and committing: Emergent interpersonal transaction processes in the evolution of 3M's microgravity research program,”
in Andrew H. Van de Ven, Harold L. Angle & Marshall Scott Poole eds.,
Research on the Management of Innovation: The Minnesota Studies, New York; Tokyo: Harper & Row, Ballinger Division, 337-366.
Schutz, Alfred (1964)
“The stranger: An essay in social psychology,”
in Arvid Brodersen ed.,
Collected Papers, Vol. 2: Studies in Social Theory. The Hague: Martinus Nijhoff. pp.91-105.
【注】この論文の邦訳は、桜井厚訳『現象学的社会学の応用』御茶の水書房, 1980 の
第1章 (pp.3-25)
として収録されている。
Czarniawska-Joerges, Barbara (1992)Exploring Complex Organizations: A Cultural Perspective. Newbury Park, Calif.: Sage Publications. Chapter 7 (pp.159-185).
【注】セッション10 (第3章 イントロダクション) でも別の章が引用されている。
09
D'Aveni, Richard A. & Ian C. MacMillan
(1990)
“Crisis and the content of managerial communications: A study of the focus of attention of top managers in surviving and failing firms,” Administrative Science Quarterly, 35, 634-657.
★★☆
10
Czarniawska-Joerges, Barbara (1992)Exploring Complex Organizations: A Cultural Perspective. Newbury Park, Calif.: Sage Publications. Chapter 5 (pp.117-138).
【注】Weick (1995)のch.3の“organizational life” は邦訳では「組織の生」と訳されているが、もともとCzarniawska-Joerges (1992) ch.5では “everyday life”「日常生活」と対比して “organizational life” が使われていることから、「組織生活」と訳すべきだろう。またWeick (1995)のp.64の3行目(邦訳ではp.86下から2行目)で、Czarniawska-Joerges (1992) のp.212からの引用とされている箇所があるが、p.212にはそのような記述はなく、p.121の間違いである。
11
Smircich, Linda & Charles Stubbart
(1985)
“Strategic management in an enacted world,”
Academy of Management Review, 10, 724-736.
Wiley, Norbert
(1988)
“The micro-macro problem in social theory,”
Sociological Theory, 6 (Fall), 254-261.
【注】Weick (1995)のch.3では“generic subjective”(初出p.70 邦訳p.97)という表現があるが、これでは、形容詞+形容詞で文法的に間違いであろう。副詞+形容詞で“generically subjective”あるいは形容詞+名詞で“generic subjectivity”とすべきで、事実、引用元であるWiley (1988)ではそのように表現されている。
12
Porac, Joseph F., Howard Thomas, & Charles Baden-Fuller
(1989)
“Competitive groups as cognitive communities: The case of Scottish knitwear manufacturers,”
Journal of Management Studies, 26, 397-416.
【注】この節では、Porac等の研究における経営者のメンタル・モデルが取り上げられ、それがセンスメーキングの7つの特性のような一般的記述と合致していることが論じられているが、そもそもPorac等の研究がどんな内容だったかについてはまとめられていないので、この論文を読むしかない。ちなみに、Weick (1995)はメンタル・モデルについて明確に記述していないが、この論文を読めば、意思決定者が意思決定の際に用いるモデル、すなわちMarch & Simon (1958)流にいえば「状況定義」のようなものをメンタル・モデルと呼んでいたことが分かる。
13
Watzlawick, Paul
(1977, c1976)How Real Is Real?: Confusion, Disinformation, Communication. New York: Vintage Books. Chapter 4 (pp.45-54).
(小林薫訳『あなたは誤解されている: 意思疎通の技術』光文社,
1978. 第4章 (pp.58-71))
Huber, G. P. & R. L. Daft
(1987)
“The information environments of organizations,” in Fredric M. Jablin, Linda L. Putnam, Karlene H. Roberts, & Lyman W. Porter eds.,
Handbook of Organizational Communication: An Interdisciplinary Perspective. Newbury Park, Calif.: Sage Publications. (pp.130-164).
Smith, G. F.
(1988)
“Towards a heuristic theory of problem structuring,”
Management Science, 34, 1489-1506.
Smith, G. F.
(1989)
“Defining managerial problems: A framework for prescriptive theorizing,”
Management Science, 35, 963-981.
Louis, M. R. & R. I. Sutton
(1991)
“Switching cognitive gears: From habits of mind to active thinking,”
Human Relations, 44, 55-76.
14
Stinchcombe, Arthur L.
(1990)Information and Organizations. Berkeley, Calif.: University of California Press. Chapter 1 (pp.1-31).
15
Easterbrook, J. A.
(1959)
“The effect of emotion on cue utilization and the organization of behavior,”
Psychological Review, 66 (3), 183-201.
Wachtel, Paul L.
(1967)
“Conceptions of broad and narrow attention,”
Psychological Bulletin, 68 (6), 417-429.
16
Walsh, James P. & Gerardo Rivera Ungson
(1991)
“Organizational memory,”
Academy of Management Review, 16 (1), 57-91.
17
Perrow, Charles
(1986)Complex Organizations: A Critical Essay, 3rd ed. New York: Random House, New York: McGraw-Hill. Chapter 4 (pp.119-156).
【注】Weick (1995)では、この第3版(1986)を引用しているが、初版(1972)、第2版(1979)もあり、初版については翻訳(佐藤慶幸監訳『現代組織論批判』早稲田大学出版部, 1978)もある。Weickの本で、項のタイトル《第三次コントロール: 組織のボキャブラリー》ともなっている "third-order controls" については、引用ページ数なしにPerrow (1986)の用語であるかのような記述になっているが、それらしきことが書いてあるPerrow (1986)のp.129では、たんに "three types of controls" となっていて、第1次、第2次、第3次といったレベルを連想させるような記述はないので注意がいる。この第三次のコントロールは、Simon (1957)が考えた意思決定過程の連鎖としての組織のイメージをベースにしているので、多分に近代組織論的な組織観に基づいている。
Simon, Herbert A.
(1957)Administrative Behavior: A Study of Decision-Making Processes in
Administrative Organization, 2nd ed. New York: Macmillan. Chapter 3 (pp.45-60).
【注】Weick (1995)では、この第2版(1957)が引用されているが、第2版は新しく「第2版への序文」が追加されたものの、本文は初版(1947)と同じである。同書にはこれ以降に第3版(1976)、第4版(1997)、それ以前には準備版(1945)が存在している。これらの関係については、次を参照のこと。
高橋伸夫 (2008)「『限定された合理性』はどこに―経営学輪講 Simon (1947, 1957, 1976, 1997)」『赤門マネジメント・レビュー』Vol.7, No.9, pp.687-706. PDF Administrative Behavior 1945年版について
18
Kuhn, Thomas S.
(1962; 1970;
1996)The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: University of Chicago Press. Chapter 5 (pp.43-51).
(中山茂訳『科学革命の構造』みすず書房,
1971; 初版(1962)の翻訳に改訂と補章を加えたもの)
【注】トーマス・クーンのパラダイム論を知っている人にとっては《パラダイム: 職業のボキャブラリー》の項は理解が容易だが、知らない読者が読むと、パラダイムが何を意味しているのか、ますます分からなくなるだろう。余計な説明はいらない。p.119 (邦訳p.161)で孫引きされているKuhn (1970)の第5章冒頭部分にある文章だけで十分である。すなわち、「ある一時期におけるある分野の歴史を細かく調べると、いろいろな理論が概念や観測や装置に応用される際に、標準らしき一連の説明の仕方が繰り返されていることに気づく。これらがその専門家集団のパラダイムであって、教科書や講義や実験指導の際に現れてくるものである」(p.43 邦訳p.48)。
Hedberg, Bo
(1981)
“How organization learn and unlearn,” in Paul C. Nystrom and William H. Starbuck eds.,
Handbook of Organizational Design, Vol.1. Oxford; New York: Oxford University Press.
Chapter 1 (pp.3-27).
【注】項のタイトル《行為の理論: 対処のボキャブラリー》といってもピンとこないが、刺激-反応 (S-R)モデルから発展したプログラム/ルーチン選択モデルに基づいた組織学習論の話をベースにしている。このHedbergの論文はアンラーニングで有名な論文。同様に引用されているArgyrisはダブル・ループ学習で有名である。Weick (1995)では言及されていないが、1990年代以降ではMarchの系統も有力になる。組織学習論では、この3系統が主流をなしている。おそらくWeickは、自分も組織学習論だと思っているので、この項では、あえて「組織学習」という用語を一度も使わなかったのだろうが、その変なこだわりのために、説明が余計に難解になってしまっている。March系を中心とした組織学習論については、次の論文が詳しい。
高橋伸夫(1998)「組織ルーチンと組織内エコロジー」『組織科学』Vol.32, No.2, pp.54-77.
PDF
19
Shils, Edward
(1981)Tradition. Chicago: University of Chicago Press. Introduction (pp.1-33).
22
Ross, Jerry & Barry M. Staw
(1993)
“Organizational escalation and exit: Lessons from the Shoreham Nuclear Power Plant,”
Academy of Management Journal, 36 (4), 701-732.
Brunsson, Nils
(1982)
“The irrationality of action and action rationality: Decisions, ideologies and organizational actions,”
Journal of Management Studies, 19 (1), 29-44.
23
Hedberg, Bo L., Paul C. Nystrom, & William H. Starbuck
(1976)
“Camping on seesaws: Prescriptions for a self-designing Organization,”
Administrative Science Quarterly, 21, 41-65.
Lanzara, Giovan Francesco
(1983)
“Ephemeral organizations in extreme environments: Emergence, strategy, extinction,”
Journal of Management Studies, 20 (1), 71-95.