Schmitt, B.
(1999).
Experiential marketing.
Journal of Marketing Management, 15(1-3), 53-67.
★☆☆ 【2016年7月6日】
経験価値マーケティング(experiential marketing)を提唱した論文。
この論文では、5種類の経験が、多様な媒体を通じて行われると考えられている。まず、次の5種類の経験は、戦略的経験モジュール(strategic experiential module; SEM)と呼ばれる。
- SENSE・・・感覚的経験(sensory experiences)
- FEEL・・・情緒的経験(affective experiences)
- THINK・・・認知的経験(creative cognitive experiences)
- ACT・・・肉体的経験(physical experiences, behaviours and lifestyles)
- RELATE・・・準拠集団や文化と関連付けることから生まれる社会的アイデンティティ経験(social-identity experiences that result from relating to a reference group or culture)
さらに、次のような媒体は、経験価値プロバイダー(experience provider; ExPro)と呼ばれる。
- コミュニケーション(communications)
- 見た目・言葉のアイデンティティ(visual and verbal identity)
- デザインやパッケージング(product presence)
- 電子媒体(electronic media)
このSEMとExProの2次元の組み合せを経験価値グリッド(experiential grid)と呼び、戦略を立てようというのである。
表面的な浅い理解はこんな感じだと思うのだが、よく読むと、このグリッドを使って、SEMに合ったExProを議論しようというわけでもなさそうだし、SEMもSENSEからRELATEまで順序があるというわけでもなさそう。あえていえば、この論文では明確に書かれていないが、同年発行の同名の著書によれば、このグリッドで横にたくさん○が付く(該当する)ようであれば幅(breadth)があり、縦にたくさん○が付くようであれば深さ(depth)があるということらしい。こうした表面的な理解でいいのかどうかもよく分からないくらい、何が言いたいのか分からない論文である。
《参考文献》
Schmitt, B. H. (1999).
Experiential marketing: How to get customers to sense, feel, think, act, and relate to your company and brands.
New York, NY: Free Press.
(嶋村和恵, 広瀬盛一訳『経験価値(エクスペリエンシャル)マーケティング: 消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力』ダイヤモンド社, 2000)