1988〜1990年に、米国シリコン・バレーのコンピュータ関連会社の経営者、管理者50人を対象に行ったインタビュー調査をもとにして書かれた論文で、図表が1枚もなく、すべて文字という珍しい論文。特に
もっとも、守秘義務契約(non-disclosure agreement; NDA)もおかまいなしに、法律無視でどんどん協力、転職してもかまわない(p.429)とする独特の風土が、こうした企業間ネットワーク成立の前提なので、米国内の他地域も含め、あまり一般性がない。
それに、この論文以降、1と2では結局こうした企業の事業はみんな米国の国外に逃げてしまい、近くにいなくてはだめなんだ(p.430)というインタビューも、今となってはむなしい。3についても、確かに米国の大企業はそっぽを向いたが、実は日本の富士通がSparcの製造をしていた(脚注28)という有名な話もあり、疑問が湧く。ちなみに、前年に出版されたFlorida and Kenny (1990)は全く逆の主張を展開している。
Florida, R., & Kenny, M. (1990). Why Silicon Valley snd Route 128 won't save us. California Management Review, 33(1), 68-88.