Rousseau, D. M.
(1989).
Psychological and implied contracts in organization.
Employee Responsibilities and Rights Journal, 2(2), 121-139.
★★☆ 【2014年11月26日】【2015年5月12日】
一般的に、文書化されていない「非成文契約」として一緒くたに扱われているが、この論文は、暗黙的契約(implied contract)と心理的契約(psychological contract)を区別する必要があると主張している。なぜなら、(a)双務的か片務的か、(b)客観的か主観的か、の違いがあり、そのことで、(c)違反があったときの反応が大きく異なるからである。
暗黙的契約は、
- 当事者間(会社・従業員間)で相互作用が繰り返されることで形成・黙認される
- 第三者からも観察可能な予測可能な行動パターンで、
- 違反された場合には、予測可能性が消失し、関係性(たとえば長期雇用)終焉の合図となる。
心理的契約は、
- 一方の当事者(従業員)が「互恵義務」に関して抱く
- 主観的な期待で、
- 違反された個人は、失望感や裏切られたという感情を持ち、トラウマになる。
《参考文献》
【解説】山城慶晃, 菅章 (2015)「暗黙的契約とは何だったのか?―経営学輪講Rousseau (1989)」『赤門マネジメント・レビュー』14(7), 403-412.
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