高橋(2015)の第1章の一部を抜粋すると
経営戦略論の分野では、1984年にWernerfelt (1984)とRumelt (1984)の二つの記念すべき論文が出版され、資源ベース理論あるいはRBV (Resource-Based View)と呼ばれる一群の研究が出現した。RBVは企業の資源側の立場から、資源の特性とその変化に結び付けて、競争優位の創造と維持と再生を説明しようとする(高橋・新宅, 2002)。ここではレント(rent)がキーワードになる。レントはもともと地代のことだが、(中略) 経営戦略論では、レントとは、簡単に言ってしまえば普通以上に得られる利益率のことを指すようになった。RBVが出現するまでは、経営戦略論でも、経済学同様にレントの源泉を市場に求めていた。たとえばポーターは、経済学の影響下で市場のパワーを強調し、独占あるいは寡占によるレントに注目した戦略モデルを展開した。(中略) しかし、研究者たちは、レントの源泉を市場にではなく、企業自身に求めるようになった。(中略) このようなレントの源泉をめぐる議論から現れるRBVの基本構造をより論理的に示せば、持続的な競争優位をもたらすのは、まずは、@レントを生み出す資源のユニークさ・異質性であり、そしてAその異質性を持続させるための何らかのメカニズムだということになる。このうち、Aのレントを持続させるメカニズムは隔離メカニズム(isolating mechanisms)とも呼ばれ、さらに以下の(b)〜(d)の三つに分けられる。
四つの角石の実例については、高橋(2015)の第1章に続く。
高橋伸夫・新宅純二郎 (2002)「Resource-based viewの形成」『赤門マネジメント・レビュー』Vol.1, No.9, pp.687-703. PDF
高橋伸夫(2015)『経営学で考える』有斐閣. 電子書籍版