掲載されたOrganization Science誌の当時の編集長Arie L. Lewinの推薦文付の論文。基本的なアイデアは、Michael Polanyi (1966)の暗黙知(tacit knowledge)概念を使って、形式知(explicit knowledge)と対にして使い、四つの知識創造のモード(modes of the knowledge creation)を表した次のようなFigure 1。
から/に | 暗黙知に | 形式知に |
暗黙知から | 共同化(Socialization) | 表出化(Externalization) |
形式知から | 内面化(Internalization) | 連結化(Combination) |
さらに、この認識論的次元(epistemological dimension) [形式知←→暗黙知]を縦軸にし、存在論的次元(ontological dimension) [個人/グループ/組織/組織間]を横軸にした2次元で、組織的知識創造のスパイラルを表したFigure 2が基本である。明確な説明がないが、Figure 2はおそらく、上半分に「形式知の量」、下半分に「暗黙知の量」を棒グラフ的に表したものなのであろう。そして形式知と暗黙知の間を行き来しながら、「個人→グループ→組織→組織間」と知識レベル(knowledge level)が上がるに従って、「形式知の量」も「暗黙知の量」も増えていくことを表していると思われる。
なお、用語の訳語は野中・竹内(1996)にしたがっているが、同書p.84の組織的知識創造の二つの次元の図は、縦軸が[より形式知←→より暗黙知]としか解釈できないので、そうなると残念ながら「形式知の量」「暗黙知の量」という解釈は成立しなくなり、Figure 2は意味不明となる。
Nonaka, I., & Takeuchi, H. (1995). The knowledge-creating company: How Japanese companies create the dynamics of innovation. New York, NY: Oxford University Press. (梅本勝博訳『知識創造企業』東洋経済新報社, 1996)