オンライン・ストアを訪れた買い物客のページからページへの移動を記録したデータ(page-to-page clickstream data)を使って、買い物客の買い物戦略(shopping strategy)を4つに分類し、購買行動との関連を調べた論文。まず、買い物客のサーチ行動(search behavior)をJaniszewski (1998)にしたがって、「目標志向的」(goal-directed)と「探索的」(exploratory)に二分し、それと購買時期(purchasing horizon)「すぐに」(immediate)、「将来」(future)を組み合わせて、Table 1のような4類型を考えた。
Table 1. 買い物戦略の類型購買時期 | サーチ行動 | |
目標志向的 | 探索的 | |
すぐに | 目標志向的購買(directed buying) | 快楽的閲覧(hedonic browsing) |
将来 | サーチ/熟考(search/deliberation) | 知識構築(knowledge building) |
次に、この買い物戦略の各類型に期待される行動パターン(expected pattern)の特徴を考察して、Table 2のようにまとめている。
Table 2. 買い物戦略から期待される行動パターン焦点 | カテゴリーの多様性 | 製品の多様性 | 特定の製品を繰り返し見る | |
目標志向的購買 | 製品ページ | 低 | 低 | 高 |
サーチ/熟考 | カテゴリーと製品ページ | 低 | 高 | 中 |
快楽的閲覧 | カテゴリー・ページ | 高 | 高 | 低 |
知識構築 | 情報ページ | 低 | 低 | 低 |
そこで、実際に、ビタミン、減量、ボディービルのサプリメントを売っている一つのサイトで2000年5月18日〜7月5日の7週間のデータを使って、セッションを単位としたクラスター分析を行ったところ、五つのクラスターが出てきて、そのうち四つのクラスターは、Table 2のような特徴をもっていたことが分かったとしている。ただし、Table 2の中で、製品の多様性の列で網掛けのセルについては、実際には「中」程度だったので注意がいる(Table 5, p.35)。こうして分析の結果得られた各クラスターのセッションにおける購買転換率(purchase conversion rate)を求めると、目標志向的購買は12.94%と高く、続いて、サーチ/熟考8.02%、快楽的閲覧2.03%、知識構築0%となり、5%水準で統計的に有意な差があった。
なお、測定尺度一覧のTable 4 (p.33)の表中で、CATPG, BRANDPG, PRODPGの変数の定義が比率%ではなく数#になっているが、本文中の記述(pp.33-34)では比率%になっているし、実際、焦点を測定している6変数は足して100%にならないとおかしい。さらに、これら6変数のうち5変数は、クラスター分析の結果を表すTable 5 (p.35)の表中では「SUM〜」と変数名が変わっているが、定義が変わったのかどうかは分からない。
Janiszewski, C. (1998). The influence of display characteristics on visual exploratory search behavior. Journal of Consumer Research, 25(3), 290-301.