この論文は、ユーザー・イノベーションを起こすinnovative userの特性を明らかにしようとするもので、ホビイスト(hobbyist; 趣味に熱中する人)であることと企業認知に敏感であることを挙げている。調査対象はPropellerhead Software社(従業員数25人)のコンピュータ音楽ソフトReBirthのユーザー・コミュニティのメンバーで、345人(回収率62.7%)分の質問票データと一部インタビューを分析している。ただし、そもそもホビイスト・ユーザー(hobbyist user)とは一体どんな人たちなのか? その「生態」を明らかにしないと、調査票の設計もままならないような気がする。論文では、収入のうち、"activities of sound production and processing"からどのくらいの収入を得ているのか(0%、25%未満、50%未満、プロ)で表しているが、そもそもその活動が具体的に何を指して、どの程度まで含めるのか? 微妙である。
【解説】一小路武安 (2010) 「ユーザーイノベーション研究の現在:イノベーションを行うユーザーをいかにマネジメントするか―経営学輪講 Jeppesen and Frederiksen (2006)」『赤門マネジメント・レビュー』9(3), 175-186. PDF