Gulati, R. (1995). Social structure and alliance formation patterns: A longitudinal analysis. Administrative Science Quarterly, 40(4), 619-652. ★★☆ 【2013年4月24日】

 ご本人が集めた1970年〜1989年の米国(54社)、日本(66社)、ヨーロッパ(46社)の新素材産業(62社)、自動車産業(52社)、工業オートメーション産業(52社)の2,400件以上の提携のデータに基づいて、そのうち1981年〜1989年の9年分のデータを使って、事前の提携から現れる社会的コンテクストと戦略的相互依存性(strategic interdependence)が提携形成に影響するという主張を行った論文。

 分析単位はダイアド(dyad; 2社群)で、各年のダイアドに、提携があれば1、なければ0と二分法で値を与えている。全部で8仮説が検証されているが、たとえば

 仮説1. 戦略的相互依存性の高い2企業は、そうではない企業よりも提携を形成しそうである。

 この仮説は、戦略的相互依存性の定義によっては、限りなくトートロジーに近くなる仮説である。実際に測定された変数「戦略的相互依存性」は意外なもので、新素材産業7個、自動車産業9個、工業オートメーション産業9個の同質的なグループ(これをニッチと呼んでいる)に分け、ダイアドが二つのニッチにまたがっているときには、戦略的相互依存性は1、ダイアドが一つのニッチの中にあるときには、戦略的相互依存性は0と定義している。そもそもこれは相互依存性を表しているのだろうか? この「戦略的相互依存性」を使って言えたことは、同質な企業間よりも異質な企業間で提携が形成されやすいということであろう。ありていにいえば、同業のライバル企業同士では提携しにくいということで、まぁそうだろうなとは思うが、これだと残念ながら、ディスカッションの冒頭(p.643)で誇示しているような資源依存理論との関係は出てこない。


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