仮想チーム(virtual team)を、Lipnack and Stamps (1997)に倣い、「共通目的に導かれた相互依存的な課業を通して相互作用し合い、情報・通信・輸送技術で強く接続し、空間、時間、組織の境界を横断して働く人々とサブチームの集団」と定義している(p.244)。
1994年から2000年にかけて、37の技術集約的(technology-intensive)多国籍企業の204人のR&Dディレクター、プロジェクト・マネジャーをインタビューして、仮想R&Dチームを4タイプに分類している。分散した(dispersed)プロジェクト・チームにおける集権的統制(centralized control)の程度が小さい順に、次のようになる。
この論文はさらに4つの決定因(determinant)
ただし、命題の検証等が行われているわけではないし、そもそも組織的/自律的(2)、補完的/冗長的(4)は、集権/分権とトートロジーであろう。また、この論文の議論は、多国籍企業の調査によっているが、この論文の主張は、多国籍企業に限らず、一国内で展開している企業についてもそのままあてはまるはずである。しかし、そのことが多国籍企業で特に強く意識されるのは、国によって言語や文化の違いがあり、 Johanson and Vahlne (1977) が指摘するような心的距離が存在するためであろう。そのことが暗黙的/明示的(3)に直接的につながってくる。
Johanson, J., & Vahlne, J.-E. (1977). The internationalization process of the firm: A model of knowledge development and increasing foreign market commitments. Journal of International Business Studies, 8(1), 23-32. ★★☆
Lipnack, J., & Stamps, J. (1997). Virtual teams: Reaching across space, time, and organizations with technology. New York, NY: Wiley.