Feldman, M. S. (2004). Resources in emerging structures and processes of change. Organization Science, 15(3), 295-309. ★☆☆ 【2015年12月2日】

 この論文では、大学の学生寮で起きたことを事例として分析している。その際、資源(resource)とスキーマ(schema)を分離して(p.296)、(1)人的資源(正確には、そのネットワーク、権威、信頼、相補性、情報といった特性)が、(2)スキーマをもち、そのスキーマに則り、(3)行為(action)を行うことで、今度は、(1)資源が影響を受けるといった円環(循環)のresourcing cycle (図1, p.296)なるものを使った分析だとされている。しかし、実際に行われている分析は、これとは異なり、図3 (p.303)のように要約される。図3は分かりやすく書くと、次のようなリニアなダイヤグラムになっている。

(1)人的資源Aの特性→(2)人的資源Aのスキーマ→(3)人的資源Aの行為
→(1’)人的資源Bの特性→(2’)人的資源Bのスキーマ→(3’)人的資源Bの行為
→(1’’)人的資源Cの特性→(2’’)人的資源Cのスキーマ→(3’’)人的資源Cの行為→・・・

 つまり(1) (1’) (1’’)のところの資源が(変化するのではなく)入れ替わっていくのである。そのため、図1と図3をつないでいる立ち位置の図2 (p.300)に至っては、誤解を招く以前に、全く意味不明であり、間違いであろう。にもかかわらず、図1のような円環の図が、この論文以降定着するのは、まったくもって不可解で、ご本人も含めて、内容をきちんと理解していない証左である。


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