Erdem, T., & Swait, J. (2014). Branding and brand equity models. In R. S. Winer, & S. A. Neslin (Eds.), The history of marketing science (pp. 237-260). Singapore: World Scientific. ★☆☆ 【2016年6月22日】

 『マーケティング・サイエンスの歴史』という本の中の第9章。「ブランディングとブランド・エクイティ・モデル」に関するレビュー論文なのだが、「ブランド」と聞けば、素人でもすぐに連想するAakerがほとんど隅に追いやられて存在感がないところが、いかにも「マーケティング・サイエンス」らしい(ということが分かれば、十分なのかもしれない)。著者二人の業績に引き付けて書いているので、論文の前半はブランドのシグナリング理論について、後半はErdem & Keane (1996)がブレークスルーとなったブランド・エクイティの動的構造選択モデル(dynamic structural choice model; いわゆる構造モデリング)についてまとめられている。ただし、読んでも理解できない部分が多々あり、いかにレビュー論文とはいえ、もっと丁寧に理解可能な形で書いてほしいものだ。

 そうはいっても、簡単にどんな話をしているのかといえば・・・たとえば、値引きすると売り上げは増えるものだ(価格プロモーション)と一般には考えられている。しかし他方では、高価格は高品質のシグナルでもあるので、値引きはブランド・エクイティを損なう可能性がある。そのシグナリング効果が働けば、値下げするとかえって売れなくなるかもしれない(p.249)。つまり、値下げがどのような結果をもたらすのかを予測するためには、各人の価格の品質に対するシグナリング効果を考慮して、それに基づく行動の変化を予測する必要がある。それを分析するのが構造モデリングというわけである(阿部, 2014)。


《参考文献》

阿部誠 (2014). 「近年のマーケティング・サイエンスのトレンド: 構造モデリング」『マーケティング・サイエンス』22(1), 1-4.

Erdem, T., & Keane, M. P. (1996). Decision-making under uncertainty: Capturing dynamic brand choice processes in turbulent consumer goods markets. Marketing Science, 15(1), 1-20.


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