Dyer, J. H., & Chu, W. (2003). The role of trustworthiness in reducing transaction costs and improving performance: Empirical evidence from the United States, Japan, and Korea. Organization Science, 14(1), 57-68. ★★☆ 【2016年7月13日】

 1993年から1994年にかけて集められた米国、日本、韓国の自動車メーカーの一次サプライヤーのデータ: 米国(GM、フォード、クライスラー) 135 (回収率66%)、日本(トヨタ、日産) 101 (同68%)、韓国(現代、大宇、起亜) 108 (同55%)の計344のデータを使って、信頼(trust)について調べた論文。信頼は、

  1. 自動車メーカーがサプライヤーを公平に扱っているとサプライヤーが信頼する程度
  2. 自動車メーカーが信頼に足るというサプライヤー・コミュニティ内の評判の程度
  3. 自動車メーカーは機会さえあればサプライヤーを不当に搾取するとサプライヤーが思っている程度(逆)

を7点リッカート尺度で測定したもの。その結果(Table 1)、日本は平均16.37 (標準偏差2.60)で、米国の13.63 (同2.64)や韓国の13.21 (同3.48)に比べて信頼が高かったと結論している(全体平均は14.30、標準偏差3.20)。

 この他にも、事前と事後の取引コストの指標も計算しているが、どちらも売上規模に反比例して取引コストが大きくなる計算式になっており、日米に比べて20分の1以下の規模しかない韓国サプライヤーの取引コストが突出して大きくなり過ぎてしまい、それ以降の分析は無意味であろう。


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