両利きの経営で有名な論文。21世紀に入って、探索・活用(exploration/exploitation)の両利き(ambidexterity)の経営は研究者達にとって流行の研究テーマの1つとなった。組織論で、その「両利き」を初めて使ったとされるのがこの論文で、多くの研究が盲目的に引用する。しかし、この論文は、タイトル「両利きの組織: イノベーションのための二重構造を設計する」に「両利きの組織」(ambidextrous organization)が入っているだけで、本文中には「両利き」も含めて一度も登場しない。もちろん探索・活用も登場しない。当時流行のコンティンジェンシー理論に乗っかって、イノベーション過程を創始と実施の2段階に分け、それぞれ異なる組織構造が適合すると主張し、それを二重構造(dual structure)と呼んでいるので、タイトルの「両利きの組織」は、おそらくこれを指していると推測される。
Kuwashima, K., Inamizu, N., & Takahashi, N. (2020). In search of ambidexterity: Exploration and bricolage. Annals of Business Administrative Science, 19(4), 127-142. doi: 10.7880/abas.0200621a Download