Belderbos, R. A., & Heijltjes, M. G. (2005). The determinants of expatriate staffing by Japanese multinationals in Asia: Control, learning and vertical business groups. Journal of International Business Studies, 36(3), 341-354. ★☆☆ 【2011年10月26日】

 1995年にアジア9カ国に進出している日本の製造業の現地法人844社の海外駐在員(expatriate)を調べたもの。経営者を日本国民、より一般的には本国民(parent country nationals; PCN)がやっているのか現地国民(host country nationals; HCN)がやっているのかを調べ、それがどのような要因で決まるのかを分析するのが本来の目的だが、厳密にはありうる第三国民が経営者をやるケースをこの論文では確認できておらず(p.351 注12)、PCNかどうかだけを分析している。つまり、経営者がPCNなら1、PCNでないなら0の値を与え、それを被説明変数とするロジット分析を行っている。分析の結果(Table 2)は、素直に解釈すれば、親会社の持ち株比率と進出国の影響が大きいというもの。進出国に関しては、進出国ダミーを入れているのでベースライン(reference countryと呼んでいる)はタイなのだが、タイと比較すると、韓国、中国、台湾は日本人経営者が少ないという結果になっている。ただし、経営者(managing director)が具体的にどのポストを指しているのか分からず、なおかつ、中国、台湾の合弁企業では、総経理と董事長をPCN、HCNで分けるケースが多いことを考えると、データ・セットを作る段階での処理に問題があり、それが分析結果に影響した可能性を否定できない。

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