Gulick, L., & Urwick, L. (Eds.). (1937). Papers on the science of administration. New York, NY: Institute of Public Administration. 【解説】
マーチ=サイモン(March & Simon, 1958)が、組織論の二つ目の源流の良い例として挙げている論文集。目次は
全11章195ページのうち、最初の3章で分量的に半分以上を占めている。 そして、経営管理論の最初の書物といわれる『産業ならびに一般の管理』(Fayol, 1917)を書いたファヨールの晩年1923年9月13日にベルギーのブリュッセルで行われた第2回国際管理科学会議での講演内容(フランス語)の英訳(第4章)とファヨールに関してアーウィックが1934年に行った講義録(第5章)を掲載し、全体として古典的な経営管理論の論文集に仕上がっている。他には、Henderson, L. J., Whitehead, T. N., & Mayo, E.のホーソン実験に関する論文(第7章)やMary Parker Follettの1932年の講義録(第8章)などが含まれている。
なお、マーチ=サイモンがこの論文集を取り上げたのは、批判の対象としてであり、たとえば第3章、ムーニー(James D. Mooney; 1884-1957)が、ゼネラル・モーターズ(GM)副社長の時に書いた「組織原則」(The principles of organization)と題した論文に対しては、ムーニーは五つの組織原則: (1)垂直的調整、(2)水平的調整、(3)リーダーシップ、(4)権限委譲、(5)権限を挙げているが、どこが原則なのか分からない代物で、勧告なのか定義なのかもはっきりしないとし、 「それが「基本的」「本質的」「不可避的」「普遍的」だというが、見たままでいえば、それぞれが単語かせいぜい修飾語付き単語、顕著な特徴はイタリック体表記というのが、[ムーニーの言う]原則だ」ともはや批判を通り越して、罵っている(March & Simon, 1993, pp.49-50 邦訳pp.39-40)。