1945年8月15日に、日本は第二次世界大戦の敗戦を迎えるが、戦後、比較的早い時期から、「進んだ米国の経営に対比して遅れた日本の前近代的な経営」というニュアンスを込めて「日本的経営」という言葉が日本国内で使われるようになったといわれている。しかし、1960年代の日本経済の高度成長期を経て、1970年代になると、欧米の学者によって「日本的経営」の見直しが行われるようになった。つまり、日本企業の経営スタイルにも積極的に評価すべきところがあるというのである。それまでの日本的経営に関する否定的評価が肯定的評価に変わったターニング・ポイントともいえるのが、ドラッカー(Peter F. Drucker; 1909-2005)によって1971年に発表されたこの論文だった。ドラッカーは、当時の米国の経営者の直面する最重要課題として三つを挙げ、日本の経営者がこれらの問題に対して欧米とは異なる対処の仕方をしていることが、日本の経済成長の重要な要因だとした。すなわち、