Cool, K., & Dierickx, I. (1993). Rivalry, strategic groups and firm profitability. Strategic Management Journal, 14(1), 47-59. ★★★【2013年7月10日】


 この論文は「ライバル強度」とでも訳せばいいのだろうか、rivalryという指標を提案している。これは市場の集中度を測るハーフィンダル指数(Herfindahl index)の亜種といえるようなもの。企業 j の市場シェア sj としたとき、市場のハーフィンダル指数 H は、Hjsj2 で定義される。それに対して、企業 j のライバル強度 Rj は、Rj=Σijsi2 で定義される。つまり、その企業 j 以外の企業の市場シェアの2乗の総和である。企業 j のライバル企業が小物ばかりだったら Rj は小さい値をとり、ライバル企業に大物がいれば Rj は大きな値をとる。最大のライバルだけを考えた相対市場シェアをより精緻にしたものと考えてもいい。

 実際には、もう少し複雑で、市場をセグメントに分けて、セグメントごとにセグメント i の企業 j のライバル強度 RIVij を計算し、それを企業 j 内でのセグメント i の売上比率 wij で重みづけして足したもの RIVj=ΣiwijRIVij が企業 j のライバル強度となる。

 この論文は、Cool and Schendel (1987)の続編のような論文で、前作では、米国の製薬業界での1963〜1982年のデータを使って、クラスター分析で、戦略グループに分類するという話をしていた。米国の製薬業界では、業界収益性が低下する傾向があるが、その説明ができなかった。そこで、この論文では、それがライバル強度で説明できると主張している。実際、表2 (p.53)では、ライバル強度と売上利益率(ROS; return on sales)の間の負の相関が、時期的に後になるほど、だんだんと強くなってきていることが示されている。ただし、肝心の、ライバル強度が増加していることが示されていないので、主張がいえたかどうかは分からない。

 もう一つの主張は、前論文の戦略グループを使って、企業 j のライバル強度 RIVj を分散分析の級内変動、級間変動のイメージで

RIVjRIVjwRIVjb

と、グループ内ライバル強度(within group rivalry index) RIVjw とグループ間ライバル強度(between group rivalry index) RIVjb に分けると、表3 (p.55)で企業収益性を被説明変数とする回帰分析の結果、1963〜1974年のデータではグループ内ライバル強度が有意になり、1975〜1982年のデータではグループ間ライバル強度が有意になっている。ただし、もともと戦略グルーブは、外形的にクラスター分析で分類したもので、実態としてグループとして機能しているわけではないので、グループ内とかグループ間とか言っている意味はよく分からない。あえていえば、かつては似た者同士の競争でのライバル強度が影響していたが、70年代後半からは、似ていない者との競争でのライバル強度が収益性に影響するようになったということか。


《参考文献》

Cool, K. O., & Schendel, D. (1987). Strategic group formation and performance: The case of the U. S. pharmaceutical industry, 1963-1982. Management Science, 33(9), 1102-1124.


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