一見、経営学とは何の関係もないように見える特許訴訟を例にして、経営学で考えるとどれだけ世界が広がり、どれだけ俯瞰してバランス良く物事が見えてくるのか概説してみよう。
会社が経営的に成功するには、何が必要なのだろうか?
T型フォードの例では、1909年から1923年までの間、価格が85%の経験曲線を描いて低下したといわれる。では、フォード社は、どうやってコスト・ダウンしたのだろうか? この問いに経営学はどう答えてきたのだろうか? まずは、そのことから始めたい。
意思決定は、経営学、特に組織論においては重要な概念・分析単位である。もともとはゲーム理論や統計的決定理論の強い影響を受けて組織論に導入されたが、組織現象として研究されてきた組織の中の意思決定の姿は、ゲーム理論や統計的決定理論の枠組みを飛び超え、実に面白い。
かつて人間は自然状態では互いに戦争状態に陥ると考えられていた。しかし実際には、たとえ敵対する者同士でも、条件さえそろえば協調行動をとることがわかってきた。その条件の中でも特筆すべきは未来係数である。未来係数が高ければ、組織内でも、組織間でも、対組織でも協調行動が生まれる。
人は働くときに色々な理由をつけて働く。そして、ついつい何のために働いているのか、自問する。働き甲斐とはなんなのか。働くことにどんな意味があるのか。
日本企業の行動や組織を理解する鍵は「仕事の報酬は次の仕事」である。そうした思想で構築されたシステムはどのように運用されることになるのか。組織やシステムを設計するための理解は、そこから始まる。